コンクリート打ち放しの家とは、コンクリートをそのまま壁面として使用する住宅です。

「おしゃれでスタイリッシュな家を建てたい」と考える過程でコンクリート打ち放しの家について知り、憧れるようになった方もいるでしょう。

本記事では、コンクリート打ち放しの家の特徴や実例を紹介します。コンクリート打ち放しの家に興味をお持ちの方は、ぜひ最後までお読みください。

コンクリート打ち放しの家とは?

コンクリート打ち放しの壁になじむ革張りのソファ

コンクリート打ち放しとは、型枠に流し込んだコンクリートの壁面を、装飾せずそのまま仕上げとして使用する方法です。RC(鉄筋コンクリート)構造やSRC(鉄骨鉄筋コンクリート)構造の家の選択肢の一つです。

外壁・内壁のどちらにも採用でき、断熱材をどこに施工するかによってコンクリートの壁面を見せる部位が決まります。あえて通常の塗装やタイル張りによる仕上げを施さず、型枠の質感や模様を活かすことで、洗練されたシンプルモダンな印象を演出できます

一見、「塗装がないから安いのでは?」と思うかもしれません。しかし実際には、型枠への細やかな配慮や左官職人による補修作業が必要となるため、仕上げのコストは塗装よりも高くなる場合があります。

コンクリート打ち放しのデザインの見せ方として、「サブロク板(3尺×6尺)」や「シハチ板(4尺×8尺)」、「正方形」など、型枠の割付を選択できます。

コンクリートの割付3種類

さらに、打ち放し特有の表情を作り出す仕上げ方法も魅力の一つ。仕上げにこだわることで、個性が反映された唯一無二のデザインが演出できます。

代表的な仕上げに、ピーコン穴をデザインに活かす方法があります。ピーコンとは、型枠固定用の樹脂製パーツです。取り除いた後の穴をデザイン要素として見せることで、打ち放し特有の表情が生まれます。

▼ピーコン穴を見せる仕上げ

ピーコン穴を見せるコンクリート打ち放し仕上げ

杉板の木目模様を浮き上がらせた仕上げ方法もあります。木目の自然な風合いが加わることで、より温かみのあるデザインを演出できます。

▼杉板の仕上げ

杉板の模様を見せるコンクリート打ち放し仕上げ

さらに山川設計では、独特なデザインが特徴の「石目調仕上げ」も取り入れています。高級感を引き立てる特別な仕上げ方法として、お客様から高い評価をいただいています。

コンクリート打ち放しの家の実例【山川設計の実例】

コンクリート打ち放しの特性を活かした住宅の実例を2つご紹介します。

エレガントで洗練された印象のコンクリート打ち放しの家

コンクリート打ち放しの賃貸併用住宅

洗練されたデザインと高い機能性を兼ね備えた、コンクリート打ち放しの賃貸併用住宅をご紹介します。

月桂樹のフローリングとアンティーク家具

室内の住居空間には月桂樹のフローリングとアンティーク家具を取り入れ、木のぬくもりが感じられる居心地のよい空間に。コンクリートの質感が絶妙なアクセントとなり、木材の温かみと調和しています。

完全バリアフリー設計で快適な住環境

住居部分は完全バリアフリー設計で、快適で安心して暮らせる住環境が整っています。

ロートアイアン製の扉が引き立つコンクリート打ち放しの住宅

1階部分にはエレガントなロートアイアン製の扉を採用し、3戸の賃貸住宅を確保。プライバシーをしっかりと守りながらも、モダンで上品な外観を実現しています。

「機能美」を追及しつつ、賃貸住宅としての実用性と、住む人を包み込む優雅さを両立した理想的な空間となっています。

パーティーを楽しむコンクリート打ち放しの住まい

コンクリート打ち放しのモダンな住宅

モダンでモノトーンの空間が広がる、コンクリート打ち放しの住宅をご紹介します。

山川設計のシンプルでシャープなラインを活かしたデザインに魅了された施主様からのご依頼で実現した住宅です。

開放感がありながらプライバシーが守られる空間

「大切なゲストや友人を招き、心ゆくまでパーティーを楽しめる住まい」がコンセプトです。外からの視線を遮る工夫により、プライバシーを守りながら開放感のある空間を実現しました。

広々としたリビング・ダイニング

広々としたリビング・ダイニングは、ゲストがくつろげる居心地のよい空間として、パーティーの中心となっています。シンプルながら上質なインテリアが、ゲストを迎える特別な雰囲気を演出します。

コンクリートの洗練された質感と無駄のない美しい設計により、日常を特別なひとときへと変える住まいとなっています。

コンクリート打ち放しの家のメリット

コンクリート打ち放しの壁と調和するダイニングテーブル

コンクリート打ち放しの家は、デザイン性だけでなく、機能面でも優れた特徴を備えています。主なメリットについて詳しく解説します。

スタイリッシュで独特なデザインを実現できる

コンクリート打ち放しの家は、無機質で洗練された質感により、クールでスタイリッシュなデザインを生み出します。あえて装飾を施さないことで、他の住宅とは一線を画す独自の外観を実現できます。

コンクリート打ち放しは、内壁への採用も可能です。金属やガラス、タイル、木材など、さまざまな素材と組み合わせることで、独創的なデザインを追求できます。デザインの自由度の高さは、住まいに個性を反映したい方にとって大きな魅力といえるでしょう。

居住空間を広くとれる

コンクリート打ち放しの家は、鉄筋コンクリート構造を採用しており、高い強度と耐久性が特徴です。鉄筋とコンクリートを組み合わせることで建物全体を支えているため、木造住宅のように柱を設置する必要がありません。そのため、大空間や自由な間取りの設計が可能です。

さらに、天井や壁に仕上げ材を使用しないことで、余分な厚みが省かれ、より広い室内空間を確保できます。たとえばリビング・ダイニングを広々としたワンフロアにしたり、天井を高くしたりすることで、開放感のある空間を実現できます。

家族構成の変化や趣味に合わせて大空間を活用できるため、ライフスタイルの変化にも柔軟に対応できるのが魅力です

耐震性・耐火性が高い

コンクリート打ち放しの家は、地震や火災に対して優れた性能を発揮します。

耐震性の要となるのは、鉄筋とコンクリートの組み合わせです。コンクリートは圧縮に強く、鉄筋は引っ張りに強いため、両者が一体となって地震の揺れに耐える構造を実現します。

耐火性についても非常に優れています。コンクリートは火に強く、火災被害やもらい火のリスクを大幅に軽減可能です。木造住宅と比べて損害リスクが低いため、火災保険料が抑えられるという経済的なメリットもあります。さらに、延焼の危険性が低いため、東京などの住宅密集地でも敷地を最大限に活用した建築が可能です。

地震や火災に強い住宅を求める方にとって、理想的な選択肢といえるでしょう。

防音性が高い

コンクリートは高密度で質量が大きく、優れた防音性を発揮します。外部からの騒音を遮断できるため、交通量の多い道路沿いや騒がしいエリアでも、室内は静かで快適な空間を保てます

また、室内から屋外への音漏れ防止にも優れており、近隣とのトラブルを気にすることなく音楽や映画鑑賞といった趣味を楽しめます。知人を招いたホームパーティーも開催しやすいでしょう。

このように、外部からの騒音を遮断し、内部の音漏れも防ぐことで、プライバシーを守りながら快適な生活環境を実現できます。

コンクリート打ち放しの家のデメリット

光が差し込むコンクリート打ち放しの家

コンクリート打ち放しの家には魅力的な特徴が多いものの、いくつかのデメリットもあります。これらを理解し、適切に対策することで、快適な暮らしが叶います。

対策しないと外気の影響を受けやすい

コンクリート打ち放しの家は、適切に対策しないととくに冬の室温が低下しやすいとされています。コンクリートは熱伝導率が高く、外気の影響を受けやすいためです。

ただし、これは断熱技術が未熟だった時代によく指摘されていた課題であり、現代では外断熱工法や内断熱工法の採用により改善されています

たとえば、外断熱工法を採用して内側を打ち放しに仕上げることで、外気温の影響を抑えながら、コンクリート特有のデザイン性を保つことが可能です

最新の断熱技術を取り入れることで、デザイン性と快適性を両立する住まいが実現できます。

定期的にメンテナンスしないと汚れが目立ちやすい

コンクリートは水分を吸収しやすく、放置すると雨染みや黒カビ、苔が発生しやすい性質があります。このため、メンテナンスなしだと外観の美しさが損なわれる可能性があります。

対策として、定期的に撥水材を施工することが重要です。2〜7年ごとに外壁に撥水材を塗布することで、汚れの付着を防ぎ、外観の美しさを維持できるでしょう。

仕上がりが施工会社の技術やノウハウに左右されやすい

コンクリートの仕上がりは、施工時の温度管理や打設技術(生コンクリートを型枠に流し込む技術)に大きく依存します。とくに継ぎ目や型枠の仕上がりを均一にするには、高度な技術が必要です。

経験豊富な施工会社であれば、施工環境に応じて適切な材料や工法を選択し、理想的な仕上がりを実現できます。信頼できる施工会社に依頼することが、満足のいく住まいをつくるうえで重要です。

コンクリート打ち放しの外壁に有効なメンテナンス方法とその費用

コンクリート打ち放しの壁と植物

コンクリート打ち放しの外壁は、そのデザイン性の高さが魅力ですが、美しい状態を保つには適切なメンテナンスが欠かせません。ここでは、主なメンテナンス方法と費用について解説します。

なお、メンテナンスには足場の設置費用も必要となるため、総額は施工会社や建物の規模によって異なります。そのため、計画的に維持管理を行うには、事前に信頼できる施工業者に相談し、具体的な見積もりを確認することが重要です。

撥水剤の塗布

撥水材の塗布は、コンクリート打ち放しの外壁を保護するための手軽なメンテナンス方法です。建築後の初期段階で実施することで優れた防水性を発揮し、雨染みを防ぎながらコンクリート本来の美しい質感を保持できます

ただし、既存のシミや汚れを補修する効果は期待できないため、劣化が進む前の早い段階での対応が重要です。また、耐久年数が短いことから、定期的な塗り直しが必要です。

  • メンテナンス費用:1,500円/㎡程度
  • メンテナンス周期:2~7年

カラークリヤー工法

カラークリヤー工法は、デザイン性を損なわずに外壁を保護する方法です。透明な塗料に着色剤を配合することで、コンクリートの質感を保ちながらシミを目立たなくします。防水性に優れているため、コンクリートの劣化も防止できます。

  • メンテナンス費用:3,500円/㎡程度
  • メンテナンス周期:5~15年

ファンデーション工法

ファンデーション工法は、コンクリート打ち放しの外壁メンテナンスで近年主流となっている方法です。高い耐久性・耐候性をもつ専用塗料を使用することで、シミや劣化が目立つ外壁でも、新築時の美しい仕上がりを再現できます。優れた耐久性により、長期的な維持コストの削減も見込めます。

  • メンテナンス費用:5,000円/㎡程度
  • メンテナンス周期:10~15年

まとめ

コンクリート打ち放しの家は、スタイリッシュなデザインと高い機能性を兼ね備えた魅力的な住宅です。見た目がおしゃれなだけに留まらず、防音性や耐震性にも優れており、個性的で快適な生活空間を実現します。

「おしゃれで機能的な住宅を建てたい」とお考えの方は、ぜひ山川設計にご相談ください。コンクリート打ち放しの住宅設計に豊富な経験を持つ専門チームが、お客様の理想を叶える住まいづくりをお手伝いいたします。