表通りに面したアイアンの門扉を開けて中に入ると、目の前に広がるのは外灯のオレンジの光に浮かび上がる長い石張りのアプローチ。まるでフランスのプチホテルを訪ねた時のようです。弧を描く美しい階段がゲストをあたたかく迎えます。近所付き合いは苦手という建て主のFさんが新たに土地を確保して取り組んだ家造りで求めたのは、プライバシーをしっかりと確保し、自分の世界を安心して楽しめる“基地”のような家をつくりあげることでした。要望を聞いた山川設計が提案したのが、美しい中庭をコの字型に囲み、庭を玄関へのアプローチとした地下1階、地上2階のコートハウス。道路側はFさんの要望に添って、内部の様子がわからないよう窓などを最小限に抑えています。しかし、曲線を多用したデザインやアイアンの門扉や外灯、窓格子などを工夫することで、あたたかで親しみのある表情をつくりました。